紹介予定派遣は就職率100%?実態やメリット・デメリットを解説

紹介予定派遣という名称を聞いた事はあるけれど、それがどのような内容なのか理解している方は以外と少ないのではないでしょうか。

紹介予定派遣は労働者派遣法で定められた制度の一つであり、使い方によっては非常に魅力的なメリットを持っています。

しかし、事前に知っておいた方が良いデメリットももちろん存在するのです。

ここでは、紹介予定派遣のメリット・デメリットを軸として利用した場合の就職率などについても解説しています。

目次

紹介予定派遣を知っていますか?まずは制度について理解しておこう

2000年の12月に労働者派遣法が改正された事を皮切りに盛り込まれたのが紹介予定派遣です。

簡単に言ってしまえば「派遣社員から正社員を目指す事が出来る」システムになっており、営業・事務・製造など派遣先の職種を問わず導入している派遣会社は数多くあります。

利用の仕方によっては直接正社員の求人に応募するよりもメリットが多くなっており、最終的に安定した正社員を目指している派遣社員から特に注目を集めているのです。

紹介予定派遣は派遣先企業との「直接雇用」である

2018年現在の派遣法では、派遣社員は派遣会社と雇用契約を結び派遣先企業で就労を行います。

契約期間は3か月や6か月で区切られている事が多く、継続して就労する場合は派遣会社との雇用契約を更新しなければなりません。

また、3年以上同じ職場で働くと派遣先企業には直接雇用の義務が発生しますが、これを逆手に取って3年未満で雇用契約を打ち切る所謂「派遣切り」が問題視されています。

一方の紹介予定派遣は短期間派遣社員として働いた後、直接派遣先企業と雇用契約を結ぶため「正社員雇用を前提とした派遣」だと考える事が出来ます。

通常の派遣とは違って正社員になれる可能性は高く派遣社員・派遣先企業ともにお互いを理解する時間が確保できるため、ミスマッチを無くすという意味でもメリットが多い働き方だと言えるのです。

最大のポイントは最長6か月or一定期間の就労

紹介予定派遣の最大のポイントは、雇用期間が最長6か月or一定期間の就労でなければならないという点です。

これは派遣法で定められているものであり、企業側としては6か月以内に紹介予定派遣を利用した派遣社員の雇用判断をしなければなりません。

ちなみに、紹介予定派遣について定めた「派遣法第2条第6号」には「派遣期間は6か月を超えないこと」とだけ記されています。

逆に言えば6か月以内であれば問題無いという事になりますので、紹介予定派遣の中には最短1か月~2か月の期間を設定している企業も存在するのです。

しかし、基本的には3か月~6か月の期間で設定されている紹介予定派遣が多くなっています。

あまりに期間が短すぎるとミスマッチなどの問題も起こりえるでしょうから、派遣社員側としても紹介予定派遣の期間を事前に確認する必要性があるでしょう。

紹介予定派遣を利用した場合のメリットは?

紹介予定派遣が派遣社員から注目されている要因は何も「正社員雇用を前提として働ける」という事だけではありません。

通常の派遣で起こり得るミスマッチという点で、紹介予定派遣はいくつかのメリットを持っています。

また、紹介予定派遣のメリットは「派遣社員」だけでなく「企業側」の視点でも考える事が出来るでしょう。

というわけで、ここでは紹介予定派遣で考えられるメリットを派遣社員と企業側双方の視点から大きく3つに分けてご紹介します。

派遣をトライアルのように利用する事が出来る

ハローワークが行っている制度の一つに、トライアル雇用制度というものがあります。

簡単に言ってしまえば「お試し就職」のようなもので、一定の施行期間を設ける事で企業と求職者のミスマッチを減らせる事がメリットです。

紹介予定派遣もトライアル制度のように最長6か月の試行期間が設けられていますから、考え方によっては「正社員になるか決めていなくともとりあえず派遣社員として入社」という風に利用する事も可能でしょう。

また、企業側からすれば派遣社員に対して「求めていた人材とのズレ」を感じる機会も珍しくはないかもしれません。

このように派遣社員・企業側双方で起こり得るミスマッチのリスクを、紹介予定派遣を利用する事で可能な限り下げる事が出来るのです。

派遣会社のサポートやバックアップに期待できる

当たり前の事ですが、派遣会社は派遣社員を派遣する際に派遣先企業から契約料金を受け取っています。

しかし、この料金とは別に紹介予定派遣では派遣先企業の年収を元にした紹介料が設定されているため、派遣会社側はなるべく多くの派遣社員を採用して欲しいと考えています。

つまり紹介予定派遣の応募段階から雇用期間中まで派遣会社からのサポートやバックアップに期待する事が出来るのです。

より具体的に言うならば面接対策や職務経歴書の添削、派遣期間中の業務に対する相談などです。

ただしこれは派遣会社・営業担当者によっても異なり、大手ほど紹介予定派遣に力を入れている傾向が見られます。

紹介予定派遣を利用して確実に正社員を目指すなら、派遣会社の選び方にも注意しておく必要性があるでしょう。

直接正社員として雇用されるより採用度は上がる

紹介予定派遣として採用されれば、正社員雇用の判断まで一定の猶予期間が与えられるようなものです。

この期間中に自身の長所や仕事ぶり、人柄などをアピールする事が出来るため直接正社員の求人に応募するよりかは採用度が上がるのは間違いありません。

決して同じ部署に配属されるとは限りませんが、職場が変わるような事はないためある程度慣れた環境で正社員として働きだせるのもメリットの一つでしょう。

ただし、これはあくまで「紹介予定派遣として採用された場合」の話です。

紹介予定派遣から正社員になるのは難しくありませんが、逆に紹介予定派遣を利用するのは以外と難易度が高くなっています。

紹介予定派遣の採用の難易度などについては下記のデメリットでもご説明していますので、是非ご一読下さい。

紹介予定派遣の実態、デメリットとして気を付けるべき事は?

派遣社員と派遣先企業双方にメリットのある紹介予定派遣ですが、決して良いことだらけという訳ではありません。

特に派遣社員側の視点から考えると紹介予定派遣を利用する前に知っておいた方が良いデメリットはいくつか存在します。

正社員を目指すと意気込んだは良いものの、最終的に正社員になれなかったのでは貴重な時間を失ってしまう事にもなりかねません。

デメリットは大きく3つに分けて解説していますので、これから紹介予定派遣の利用を検討している方は是非ご一読下さい。

通常の派遣とは違い事前面接が必ず行われる

通常、派遣社員として働きだす前に事前面接を行うような事はありません。

顔合わせという体で面談・面接が行われているのはご存じの通りですが、これは書類選考の後ですのであくまで最終確認の意味合いが強いものです。

そもそも、労働者派遣法では派遣社員の事前面接を禁じています。

一方の紹介予定派遣は事前面接が認められており、利用するためには書類選考や面接など正社員並みの工程をクリアする必要があります。

面接を2次・3次以上まで設けている企業も珍しくはなく、紹介予定派遣として働きだすまである程度の時間がかかるのは間違いありません。

通常の派遣と比べると非常にハードルが高いと言えますが、最終的に正社員としての採用を検討するため企業も慎重になる必要性があるのです。

必ずしも正社員雇用に結びつくとは限らない

先のメリットで、紹介予定派遣では最終的に自身で正社員になるかどうか判断する事が出来るとご説明させて頂きました。

社風や業務が合わないと感じたら辞退する事も可能ですが、派遣先企業と派遣社員がお互いに同意すれば新たに派遣契約を結び直す事もでき選択肢は比較的多いと言えます。

しかし、これはあくまで派遣先企業が直接雇用に同意した場合に限ります。

紹介予定派遣の契約中にマイナスの評価を受けた場合などは、直接雇用を断られる事も当然あり得るのです。

確実に正社員としての雇用を目指すなら、派遣社員側もそれなりの覚悟を持って臨む必要性があるでしょう。

紹介予定派遣を利用した場合の詳細な統計などは発表されていませんが、人材マッチングサイトなどを運営するエン・ジャパンが定期的に実施している調査を見ると少なからず実態を知る事が出来ます。

希望の企業で紹介予定派遣を探すのは難しい

派遣会社に登録する際、派遣社員は自身のスキル・資格や職歴・希望の職種などを営業担当者に伝えます。

その後、営業担当者は派遣社員を募集している企業に適切な人材を送り込んでいきます。

事務系の仕事を希望していればコールセンターや経理、スキルを活かした仕事であれば企画や商品開発といった具合に営業担当者に紹介された方も多い事でしょう。

しかし、紹介予定派遣は通常の派遣と比較して数が少ないものです。

あくまで通常の派遣と比較してという事になりますが、この事により希望の職種を探すハードルは高いものとなっています。

派遣会社に登録する前に求人サイトで探すという手もありますが、この方法では詳しい業務内容を知る事は難しいでしょう。

解決策として、メリットの項で述べたトライアルだと割り切って働いてみるのも良いかもしれません。

まとめ

いかがだったでしょうか。

派遣社員として働きつつも、最終的に正社員としての直接雇用を目指せるのが紹介予定派遣の最大のメリットです。

しかし、紹介予定派遣を利用したからと言って必ず正社員になれるとは限らず、選考や面接などをクリアしなければならない事を考えるとそのハードルは高いと言えるでしょう。

これらのポイントを含めると、紹介予定派遣は既に派遣社員として働いている方・フリーターからじっくりと正社員を目指したい方などに特に向いています。

就職率は100%ではありませんが、直接正社員になる事が難しい方達にとって紹介予定派遣は非常に魅力的な制度なのです。

あなたが紹介予定派遣の利用を検討しているなら、今回の記事を参考に確実な採用を目指してみてはいかがでしょうか。

目次
閉じる