すっかりおなじみになった「派遣社員」という言葉ですが、派遣と聞くとどうしてもステータスが低いというイメージがありますよね。
テレビドラマの影響や、ドキュメンタリー番組などで収入が低くいくら生活費をきりつめても余裕が生まれない派遣社員の生活を見た人にとっては、マイナスなイメージがついてしまうのも仕方のないことかもしれません。
しかし、そもそも派遣社員は業務形態を指す言葉であって、レベルが低いという意味ではないのです。
「派遣は底辺」は大きな誤解!派遣が底辺だと思われている理由
まず結論から言いますと、派遣=底辺ではありません。
先ほども言ったように生活ギリギリレベルで働いている人も確かにいるのですが、秘書などの仕事になれば時給2000円ほど、さらに専門性の高い薬剤師など高度な資格が必要なしごとになれば時給3000円を超えてくることもザラです。
派遣社員は基本的に残業などがないので、あるいみ効率よく稼ぐことが可能なのです。
ここでは、まず派遣が底辺だと思われている理由について考察してみましょう。
所得のまま?派遣は一生収入が安定しないの?
派遣社員は正社員と違って、どこかの会社に雇われているわけじゃないんです。
派遣社員を雇っているのはあくまでも「派遣会社」であり、派遣会社が紹介した会社に「派遣先」として出向く形になります。
おそらく現在派遣社員として働いている方も、3か月など一定期間の契約を結んで仕事をし、それを随時更新していく、という形をとっていますよね。
特にトラブルなく働けていれば更新を断られることはなく同じ職場で数年働くことも可能です。
しかし、同じ会社に10年も20年もいる、という派遣社員はあまり見たことがありませんよね。
みんな比較的短期で新しい派遣先に行くのが一般的です。
そのため、「派遣社員=不安定」というイメージがついてしまうのですね。
だからと言って所得が低いわけではなく、先ほども言ったように資格を持っていれば時給の高いところで働くことも可能です。
将来が不安!派遣はいつクビになるかわからない?
このように派遣社員は短期間で職場を転々として行く実情から、「将来が不安だな…」と思う人も多いですよね。
派遣社員が職場を変えるのは、先ほども言ったように、更新をしなかったからなのですが、世間的には「新しい会社に行く=前の職場をクビになった」と思われている場合もあります。
現役の派遣社員からすれば「そんなバカな…」って感じですが、世間の認識とはズレがあるのですね。
派遣をクビになることは原則ありえないんです。
信用を無くすような、よっぽどひどいことをした場合は、派遣先から「更新を断られる」ことはありますが、基本的に解雇という形ではありません。
更新を断られた場合でも、派遣会社に登録はされているため、別の派遣先を紹介してもらうことは可能です。
昇給やボーナスはなし?派遣は給料が上がらない?
派遣は低収入だと考えられているもう1つの理由が昇給やボーナスがないことです。
長く同じ会社で働いていたら、「お給料上がらないかな…」と期待するのが普通ですよね。
しかし派遣社員の場合は、最初に提示された金額で、契約期間の間働くことになるため、その間に給料が上がることはありません。
また更新を重ねていればそのうち昇給もありえる!?と期待するのも無駄です。
なぜなら、派遣社員には誰でもできるような仕事を任せますから、派遣先の会社的には、あなたを昇給させるくらいなら新しい別の派遣社員を同じ時給で雇いたいからです。
ボーナスは正確には勤勉手当と言って、半年間働いた分に対してのご褒美でもらう、という感じなのですが、残念ながら派遣社員には支給されないのが現状です。
派遣は本当に落ちこぼれなのか?派遣社員で働く人たちの実態
このように収入や将来性の面で少し不安の残る派遣社員ですが、派遣ってそもそもどういう人がなるんでしょう?就活に失敗した「負け組」が集まるのでしょうか?
そんなことはありません。
派遣社員をされている方は、自ら選んで派遣社員という生き方をしている人がほとんどで、優秀なスキルを持つ方もたくさんいます。
ここでは実際に派遣社員で働いている人の実態にせまってみましょう。
現在派遣で働いている方は自分の境遇と重ねて考えてみて下さいね。
子育てをしながら働くには派遣社員の方が合っている?
派遣社員って女性が多いイメージですよね。
特に子どもを持つ女性はかなり多いです。
これって何故だと思いますか?
ずばり、派遣社員じゃないと子育てが難しいからなのですね。
今の日本の働き方で、女性が正社員として働きながら子育てを両立するためには、夫が育児休暇を取ったり、その他の家族のサポートがないと難しいのが現状。
最近ではシングルマザーの人口も増えてきていますから、そういった方にとってはフルタイムではなく1日の中での労働時間が調整できる派遣社員の方が合っているのですね。
正社員であれば子どもを保育園に迎えにいくのに早退をして、同僚に仕事を頼んだり、など色々気をつかわなければいけませんが、派遣社員であればそういった心配はいりません。
自分でできる働き方改革!プライベートが無くなってない?
日本は世界的に見ても労働時間の長い国として有名です。
朝は8時には出社し、繁忙期は終電間際まで残業、家に帰ったら寝るだけという社会人も珍しくありません。
このような長時間労働、長時間の残業から体を壊し、プライベートが全くないために精神的に病んでしまう人もいます。
派遣社員であればこういった生活から抜け出すことができるんです。
まず派遣社員は契約された労働時間のみ働けばいいので、残業は基本的にありません。
なので正社員でも忙しすぎる生活に嫌気がさし、わざわざ派遣社員として働く人も多いのです。
また、精神的な理由からしばらく仕事をしていなかった人が社会復帰するために派遣社員からスタートする、というケースもあります。
派遣の生活を抜け出したい!ステップアップのための2つの方法
このように派遣にはメリットデメリットがあり、派遣で働く人の事情もそれぞれ違います。
しかし、収入のことを考えた時、「やっぱり現状では厳しいな…」と思うのであれば何かしらステップアップが必要ですよね。
薬剤師など、どこに行っても優遇されるような資格を持っていない人にとって収入アップをはかるには、現在の派遣社員の生活を卒業しなければいけません。
いったいどのようにしてステップアップしていけばいいのでしょうか。
紹介予定派遣って知っている?派遣から正社員になるためには?
紹介予定派遣という言葉を知っていますか?これは2004年から始まった制度で、直接雇用を前提として派遣社員として派遣される制度のことです。
決められた派遣期間が終了した後に採用基準を満たしていると、派遣先の企業に正社員か、または契約社員で直接雇用へ切り替えられます。
紹介予定派遣を導入している会社の中には、新卒でもなかなか入れないような大企業もたくさんあり、また派遣の一環であるため、派遣会社しか扱えない求人になっているため、派遣社員にとっては人生逆転のチャンスと言ってもいいかもしれません。
紹介予定派遣の求人を紹介してもらった後は、派遣先の企業が実施する筆記試験や面接を受ける必要がある場合もありますが、派遣社員として働いている期間の働きぶりでも自分をアピールすることができますので、ぜひチャレンジしてみましょう。
正社員をあきらめていない?派遣中でも就活を成功させられる?
いちはやくどこかの企業の正社員になりたい!という方は、派遣社員で働きながら就職活動をすることになります。
派遣で働きながら就職活動ってなんだか大変そうですよね。
しかし派遣の仕事を最低限にしておけば、就職活動との両立は可能です。
また気になるのは、派遣社員の肩書、経歴が就職活動にとって不利になるのでは?という点です。
これに関しては会社によって派遣社員の見かたが変わります。
古い体質の企業や派遣社員をたくさん雇っている大企業は一般的に派遣社員への評価が低いため、転職が難しくなる傾向にあります。
ただ非正規雇用の人口が増えている現在の日本では、派遣社員への理解も高まってきていますから、前向きにチャレンジするといいでしょう。
まとめ
派遣社員は収入が少なく将来も安定していないため、就職に失敗した人がやること、と考えられがちですがそれは大きな間違い。
確かに収入や安定の面で不安が残ることも多いですが、時給の高い案件をゲットし、そこで長い期間働くことも可能ですので、派遣が底辺の仕事だと言うことはできないのです。
さらに最近ではワークライフバランスの問題や子育ての問題から、自ら派遣社員という働き方を選ぶ人もいます。
このように派遣社員とはあくまでも働き方の選択肢の1つなのです。
ただ、どうしても現状に満足できないのであれば、紹介予定派遣の案件に応募したり、現在の派遣の仕事をこなしながら就職活動をすることをおすすめします。
どうせ派遣だから…と引っ込み思案にならず、チャレンジしていきましょう。